パラケルススの本名は、フィリップス・アウレオルス・テオフラストゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイムという、おそろしく長ったらしい名前である。パラケルススという通称は、ドイツ語のホーエンハイム(「高い家」という意味)をラテン語化して、本人みずから作ったものだ。またパラケルススの父親は、かねて尊敬していた古代ギリシアの鉱物学者テオフラストゥスの名をとって、自分の息子の名にしたという。この父親もやはり有名な医者だった。
 母親は早く亡くなったが、子供の頃から恵まれた環境にあり、父親の指導よろしきを得ていたので、パラケルススは青年期に達すると、すでに該博な知識を身につけた医者となっていた。生まれはスイスの山中の小さな町であるが、父親が教師をしていた、豪商フッガー家の創立になる鉱山学校で、みっちり鉱物学の実験をしたり、冶金学の理論を修めたりしたのである。そればかりか、当時のもっとも名高い魔法道士であった、シュポンハイム僧院長のトリテミウスから、魔術の理論も学んだので、単に医学のみならず、占星術や神秘哲学や錬金術の領域においても、並びなき知識の持主となっていた。


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Last-modified: 2008-03-19 (水) 07:04:46