十五世紀から十六世紀にかけて、ヨーロッパの北部、ドイツフランドル地方では、農民一揆や宗教戦争がえんえんと続いた。いわば新旧勢力の交替期だったわけで、ルッターのような闘志満々の宗教改革者が出たのも、この動乱の時代である。
 これからお話する″放浪の医者″パラケルススが生まれたのも、やはりこの時代、十五世紀の末で、彼は「医学界のルッター」といわれているように、おそろしく鼻っばしが強く、当時のもっとも革命的な学者で、保守的な医者や哲学者を相手に、一生涯、喧嘩をして通したような男であった。彼ほど悪名高く、伝説の多い男もめずらしいが、ゲーテのような後世の文学者も絶大な尊敬を捧げているように、現在では、じつは偉大な学者であったことが証明されている。


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Last-modified: Tue, 18 Mar 2008 22:13:51 JST (3922d)