カスティリヤのフランコは議会を離れん
   きらわれた大便は分派《シズム》せん
   リビエール家は力をつくして
   大渦巻の出現を阻止せん

 これは第九巻第十六番の詩であるが、二十世紀のスペインフランコ独裁の成立過程を予言しているのである。一九三六年、人民戦線派が勝利するや、フランコは共和派の報復を受けて、カナリー諸島に一時左遷されたことがある。「分派せん」とは、この意味であろう。「リビエール家」というのは、フランコの前にスペイン独裁政治の基礎を築いた軍人プリモ・デ・リベラの一族で、「大渦巻」というのは、世界に禍の種をまく共産党のことである。こんな風に解釈してみれば、歴史的事実とぴったり符合するのである。なお、分派を意味する「シズム」という言葉は、ファシズムと語呂が合っているから奇妙である。


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Last-modified: 2008-03-21 (金) 00:03:03