二十世紀と呼ばれる時代は、計画的な集団虐殺の時代であり、細菌戦争や核実験の時代である。毒薬の利用法もまた、集団的な規模にひろがる。

すでに毒ガス第一次大戦を機として、近代戦争に利用されはじめたのは、この集団虐殺の開幕の時期とぴったり符合する。さらにラジウムや、ウラニウムや、放射能塵の怖ろしい毒性となると、今後どのような悲惨なケースがあらわれることか、まったく予断を許さない。

もちろん、ウラニウムなどを個人が殺人に利用し得る場合は、希有な場合であろう。しかし、こんな例が絶無であるとは言えない。

一九五一年に、メキシコの富豪アルフォンソ・テッサダという男が自国内で死んだ。その動脈の硬化した屍体には、防腐処置をほどこすのが困難だった。そこで最初のうちは、砒素による毒殺と判断されたが、後に第二回目の発掘の際、マヌエル・サンドヴァル・ヴィラルタ博士が、四ミリグラムの硝酸ウラニウムを発見して、俄然、大問題になった。四ミリグラムの硝酸ウラニウムを手に入れるには、十八万ペソの大金を要したのである!

こんな毒薬は、よほどの金持ちででもなければ、おいそれと使うわけにはいかない。が、そのほかにも、二十世紀の巧妙な毒殺犯の用いる毒薬には、たくさんの種類があるのである。


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Last-modified: Thu, 22 May 2008 07:09:09 JST (3626d)