レスビアン詩人

 近頃の性風俗の急激な変化とともに、「レスビアン・ラヴ」という言葉も、私たちの日常語のなかにすっかり根を下ろしてしまった感じである。申すまでもなく「レスビアン・ラヴ」とは、女性同士の同性愛のことである。

ところで、レスビアンとは、もともと「レスボス島生まれの女」というほどの意味で、レスボス島は、エーゲ海の東部にある、小アジアの海岸に近いギリシア領の島である。この小さな島に、紀元前六世紀の初め、女の同性愛の元祖ともいうべき、サッフォーという女流詩人が生まれたのであった。このサッフォーの名にちなんで、女の同性愛をサッフィズムと呼ぶこともある。

当時、レスボス島は、オリーヴと葡萄のよく実る、古代ギリシア文明の光に浴した、平和な実しい島であった。ある人たちの意見では、この島には昔から頚魔の気風があって、サッフォー以来、鳥の女たちはすべて同性愛の悪習に染まっていたというが、そんな馬鹿な話はあるまい。これは当てにならない伝説であろう。

「意地悪な自然があたしに美しさを恵んでくれないなら、あたしは自分の才能でそれを補うわ。たしかにあたしの背は低い。でも、あたしの名声は全世界にひろがるわ」

 その通りで、彼女の詩人としての名声は、いまだに世界中に語り継がれ、その同性への恋を歌った作品は、世界中の言葉に翻訳されているのである。


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Last-modified: Wed, 25 Mar 2009 23:03:00 JST (3376d)