[[妖人奇人館/人肉嗜食魔たち/01]]

 人肉嗜食のことを[[アントロポファジー]]、あるいは[[カニバリズム]]という。この昔から知られている怖ろしい欲望には、いろんな動機があって、たとえば宗教や呪術の儀式の時に、信者が子供を殺して肉を食ったり、血を飲んだりするという習慣がある。[[肺結核]]や[[癩病]]をなおすのに、人間の肉を食えばよいという[[迷信]]もある。また未開民族が戦争や復讐で、敵を殺して食うのは、強い相手の力を自分の体内に取り入れ、自分のものにしようという気持からだろう。

 しかし、わたしがここで御紹介したいと思うのは、そんな種類の人肉嗜食ではなくて、エロティックな動機により、やむにやまれず人間の肉を食うという、いわば病理学的な範疇に属する人肉嗜食魔なのである。

#ls2(妖人奇人館/人肉嗜食魔たち)



トップ   一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS